料理研究家 濱田美里

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2015年9月『濱田美里の郷土料理⑦〜九州篇〜』

2016.03.22 │ いままでのメニュー

9月は、九州のいくつかの県の郷土料理をあわせてご紹介します。
九州の地で生まれた「懐の深い」料理は、お野菜たっぷりで、
おおらかな気持ちにさせてくれます。
暑さの残る季節、いっしょに楽しく作りましょう。

・博多めんたい卵焼き(福岡)
・がね(野菜のご当地かき揚げ)(宮崎)
・たかなめし(熊本)
・だぶ(集いの日に作られてきた、だしたっぷり具沢山の一品)(佐賀)
・菜豆腐(宮崎)

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この回は、「聞いたことも無い」名前のお料理が多くて、
みなさんどっぷり郷土料理を楽しまれたことと思います。

写真の一番上は「菜豆腐(さいどうふ)」。
宮崎県椎葉村に伝わる、なんともアーティスティックなお豆腐です。
市販の豆乳からでも作れますが、せっかくなので、大豆を挽いて、豆乳を作るところから始めました。
手作りの豆乳って本当に甘くておいしい。
その豆乳ににがりを加えてお豆腐を作りますが、
押し固める際に野菜を加えて、彩りと食感を出すのです。
みなさん豆腐を作るの自体、初めての経験だったと思いますが、
そこに野菜が加わって、「偶然の絵画」ができあがるのですから、
水に取り出す時には、「ワー!」と歓声があがりました。

めんたい卵焼きは、博多の屋台料理ですが、
気楽に作れるおつまみ、という感じで、
なんだか元気になる料理ですね。

「がね」は、野菜を使ったかき揚げですが、
衣に味がついていることがポイント。
ふんわり甘くて優しい衣にさつまいもやピーマンなどが入っています。
お店のさくさくかき揚げとは違って、この家庭的なかき揚げ、
ちょっと癖になります。
とても優しい郷土料理だと思います。

たかなめしは、熊本のソウルフード「高菜の漬け物」の古漬けを使います。
古漬けを油で炒めたのって、何にも代え難い味わい。
そのフライパンの中で、ごはんをいためるのではなく、そのまま混ぜてしまうんです。
なので、油っぽくなく、混ぜごはんとチャーハンの間みたいなものが簡単にできあがります。
古漬けの本当に上手な使い方だと思うなー。

最後に「だぶ」。
今回はこのお料理を教わりにはるばる佐賀県唐津まで行ってきました。
きれいに細かく切られた野菜や練り物、鶏肉などを、だしで薄味に煮たもので、
慶弔どちらもの集まりの時に食べられてきたのだそうです。
(慶びか弔いかで、切り方が違うそう)
京料理の影響を受けてか、九州にしては珍しく薄口しょうゆでさらりと味を決めます。
からだに染み渡るようなしみじみとした味わいで、
これもいい郷土料理だなあと思いました。

今回は、九州のいろいろな地域の料理をまとめてとりあげましたが、
お野菜がたくさんとれて、バランスもよく、
元気がじわじわとあふれてくるようなものばかりでした。
またいつか、九州の別の地域のお料理も取り上げたいなと思っています。

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