料理研究家 濱田美里

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NO FIRE, NO LIFE!

2017.05.08 │ ブログ

皆さまどんな連休を過ごされましたか。
私は里帰りもせず、旅行にも行かず、もくもくと引越の後片付けをしました。
ようやく自宅の段ボールはすべて無くなり、
オフィスの方も積み重なった段ボール箱が、テトリスのように片付いてきております。

その合間をぬって、藤棚のもとで行われたにぎやかなバーベキューや
「関西にようこそ!」と友人が開いてくれた手巻き寿司パーティに出かけてきました。
楽しくてしあわせな時間だったなあ。

前回書いたように、キッチンの仕様が変わったせいで、家の中にガス火がなくなり、
IHで調理をしていると、だんだん火が恋しくて恋しくてたまらなくなり、
ふとわたくしは、ベランダに七輪を出すことを思いついたのでした。

この七輪にはいわくがありまして。
東京に住んでいる頃、仕事で知り合った方が大久保の「千里香」という羊のお店を教えてくださり、
早速行ってみたところ、クミンとかごまとかスパイスをたっぷりまぶした羊の串をジュウジュウ焼いたのが、
もうおいしくていくらでも食べられて(しかも安いよ!)、
すっかり触発された私は、実家から使っていない長方形の七輪を送ってもらうことにしました。
翌週末に、さっそくお店の味を思い出してスパイスを調合し、
羊を買ってきて串に刺し、
恵比寿の家の駐車場で焼き始めたところ、
あまりにも煙が出て近所迷惑はなはだしいので
3階のベランダに持って上がって焼いたのですが、
都心のビル群と狭い空を眺めながら、脱衣所の洗濯機の横で、
赤ワインを飲みながら羊のバーベキューっていうのは、ねえ。。。。
面白かったけど、いくらなんでも、景色が悪すぎる。
その後七輪は物置の奥にひっそりと片付けられ、二度と姿を現すことがありませんでした。

その七輪です!
神戸では、目の前は川が流れるのみで、ビルも家もありません。やっほー。
さっそく買ってきた肉とか、鶏レバーとか、野菜とか焼いてみます。
うまい!鶏レバーは下ごしらえをして、塩をたっぷりめにまぶして、表面をカリッと焼いたら、
レモン絞って食べるだけで超おいしい!
ベトナムっぽい感じで葉っぱをいっぱい用意したら、もうビールが進むこと。

これにすっかり味をしめて、スタッフも誘い、翌日は魚を焼くことにしました。
適当に買ってきてとお願いしたら、黒鯛とアイナメが用意されました。
大人の私は、「わっ、東京の1/3の値段!」と思い、
こどもの私は、「あ、チヌとアイナメ。でも島の魚屋さんが持ってくるやつよりくさい。」と思う。
(神戸に来てから、食材がこどもの頃のものに近いので、こどもの私が出てくるのです。)
黒鯛は島ではチヌと呼んでいて、刺身でよく食べたし、アイナメは断然煮付けの魚。
こどもの私はそれくらいしか知らないけど、大人の私には知恵があります。
島で手に入る魚より古いのは当たり前のこと。ちょっと早めに塩をして、身をしめたらいい。
焼くには淡白すぎるアイナメには、隣でプチトマトを焼いてソースを作りゃいい。
米粉と小麦粉を混ぜて焼いたフォカッチャを各々がちぎっては、炭であぶると、
ざくっとした食感になって、ワインにも日本酒にもあうパンになります。
トマトのソースはこのパンにもよく合う。
ああ、炭火焼は楽しい!
しばらくはまりそうです。

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