料理研究家 濱田美里

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祖母の着物

2018.03.13 │ ブログ

卒業式のシーズンですね。
神戸でももうすぐ桜の花が咲きそうですよー。

3月のお教室も今日でおしまい。
今月はおつまみの会だったので、酒房美里(酒を出さないくせに!)気分で、
大正ロマンなお召しを着ました。

この着物、本当に大正生まれの祖母が若い頃に着ていたものなんです。
私が20代の頃に仕立て直してもらって、大好きでよく着ていたのだけど、
もう10年近く袖を通したことがありませんでした。
久しぶりに着てみると、サイズがちょっと小さめなので
なんとなく着づらいけれど、針の目がまさに祖母の細かい性格そのもので懐かしく。

「おじいちゃん(祖母の父)に買ってもらって、白生地から染めてもろうたんよ。
もう着ることないじゃろうと思って、しまっとったけど、さとちゃんが着てくれるとはねえ。」
と嬉しそうに、ほどいた反物を出してきた時の祖母の顔を思い出します。
若くして母親を亡くして、幸せとは言い難かったであろう彼女の10代の、
温かな記憶とつながるものだったから、捨てられなかったんだろうな。

着物の思い出というのは、女の子が愛された記憶とつながっていることが多いものですね。
ハレの日にはいつも着物を着つけてくれた祖母のぎゅっとした手の動きを体で思い出すと、
もういい大人なのに、私もさとちゃんに戻ってしまいます。
もしかしたら、味覚の記憶もそういうものかなあ、という気もしますね。

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