料理研究家 濱田美里

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ストックホルム備忘録4

2018.03.27 │ ブログ

3月27日朝7時。
外は快晴で雪も降っていないのに、外気の温度計を見たらなんとマイナス9,5℃!
ちなみに室内の温度は20,5℃。

昨日は最寄りの駅のショッピングモールヘ行った。
このモールには2つスーパーマーケットが入っているのだけど、その他に野菜と果物だけ売っているコーナーがある。
そこでハーブがたくさん売られていたので、
イタリアンパセリ、香菜、ミント、青ネギを買った(それぞれすごい大束で150円くらい)。
ディルがなかったのでイタリアンパセリにしたけど、これって1月に教室でお教えしたベトナムのチャーカーのミックス!
牛肉と合わせて、久しぶりにチャーカーっぽい料理を作ろうと決める。

こちらのキッチンのコンロは4口で、下に大きめのオーブンがついている。
それぞれのコンロで1~9までの温度設定ができるようになっているが、
べつに9だからと言って温度が高いわけではなく、ただ熱が入る間隔が短くなるだけ。
なので、最も向かない料理は炒め物。
1に設定すると、そのまま外出しても大丈夫なくらいのごくごくとろ火。
これで長時間煮込み料理をすると、ものすごくおいしくなる。
(昨日は日本から持ってきた大豆を半日くらいかけておいたらいい具合に煮えた。)
おのずと、このキッチンが得意とする料理は、ロースト(オーブン焼き)か̪シチュウ(煮込み料理)になる。

私はオーブンが好きで、オーブン料理の本も出しているくらいだが、
日本という国で、オーブンよりもだんぜん電子レンジ料理の方が普及したのがなぜなのか、考えることがある。
キッチンの狭さや、調理時間の長さ(予熱時間も含めて)以外にも根深い苦手意識があると思う。
それはもしかしたら、火(熱)が回ることに対する感覚かもしれないな。
東アジアでは「窯」で料理をしてこなかったから、上火やまわる火で「ローストする」ことよりも
「蒸す」ことの方に親和性がある。(厳密にはレンジは蒸しているわけではないけど、感覚としてはそのようなものだろう。)
火鉢の炭火は強いけれど下からの遠火。
「上からまわる火」を操るのが、我々は苦手なのだと思う。
その代わり、というのも変だけど、鍋の下からの「中くらいの火(日本料理に極端な強火は必要ない)」を操ることの繊細さにかけてにかけては日本人はピカイチだと思う。
だって、あんな微妙な水加減、火加減をコントロールし、油も使わずして、毎日お米をふっくらと炊いてきた民族なんだもの。

昨日はトルティージャみたいなピタパンを買ったので、それで肉とハーブのチャーカーもどきを巻いて食べた。
私の料理はどんどん国籍不明なハイブリッドになっていく。
でも口にするとまぎれもなく日本人が作った味だと思う。
私にとって、和モダンな料理とは何か。
今年はずっとそれについて考えている。


ピタパンもたくさん売られています。


1月のチャーカーと3月のアヒージョをミックスした感じ。油で煮るような調理法。

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