料理研究家 濱田美里

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ジェームス邸

2019.02.11 │ ブログ

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先月、竹中大工道具館を教えて下さった生徒さんが、「センセ、神戸らしい建物では、滝の茶屋駅にある、海の見えるジェームス邸もおすすめですよー。」と話して下さいました。「私はローストビーフが食べたくなったら行くんですよ。」と。

この連休は、ちょうど私の誕生日だったので、行ってきました。ジェームス邸!お天気が曇りだったのは残念でしたが、とってもすてきな建物でしたよ。大きな塊のローストビーフも切っていただいて、42歳のお祝いをしました。

選んだこの着物は私のおばが若い頃に着ていたもので、もともとは薄い水色だったんです。私が20代で譲り受けた時には、経年劣化でシミがたくさん出来ていて、とても着られる状態ではなかったので、当時、花だけ残して地の色をモスグリーンに染め直しました。

でも若いときの私は超渋好みでこの柄があまり好きになれず、その上20代30代の私にはこの色がまったく似合わず、仕立て直したものの10年以上着ないでたとう紙にしまわれたままでした。40歳を過ぎた頃、思い出して袖を通してみたら、今の気分にピッタリになっていて、すごく驚きました。

きものって、デザイン(形)はたった一つで、生地の色、柄、質だけで、個性や格、季節感などすべてを表現していくので、こうして長い時間を経て着る、ということができるんですよね。洋服の場合はどうしても形の方に流行が入ってしまうので、それは難しい。もともとは若いおばが作ったものだから、生地自体は50年以上も前のものなのに、今の私が「ピッタリだ」と思って着ることが出来るってすごいなあと思います。

ていねいに作られた、質の良い生地は時間が経っても古びることが無く、私の成長を静かに待っていてくれた。20年和服を着てきて、最近きものというものが、また違った目で見えるようになってきました。年を重ねると言うのは本当に楽しいものですね。古い洋館の窓から、遠くに明石大橋を眺めながら、今年も1日1日大切に過ごしたいなと思いました。

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