料理研究家 濱田美里

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本をそばに

2021.08.12 │ ブログ

昨日の新聞記事で、大学時代の恩師、小林章夫先生の訃報を知り、呆然とする。

まだお若かったのに。。。いつものご冗談であってほしい。

最後にお会いしたのはいつだろう。もう10年以上も経つだろうか。

先生の翻訳の授業も好きだったけど、
大学を卒業して、やっと仕事を持った大人(社会人?)になった後、
イギリス文学の小林先生と、アメリカ文学の飯野先生と、編集者の友人たちと、
どうでもいい話をしながら、お酒を飲むのが大好きだった。

(金歯をとった話とか、近所のお豆腐屋さんの話とか、本当にどうでもいい話しか覚えていない。)

学問の話をすることなんてほとんどなくて、
先生は大抵イギリスっぽい皮肉の利いたユーモアで、
世間話とか、しょうもない話とかされながら、

でもいつも心底文学を愛しておられて、
(そういえば、『東西食卓異聞』が良かったよーとお話しされていて、すぐに読んだのが最後だったな。)

こちらも「ちゃんと」本を読んだり映画を見たりしていないと、
そして自分の言葉を持っていないと、同じテーブルにはつけない厳しさがあった。

「いつも本をそばに置いておくこと。文学で美意識を磨き続けること。」

一度も言葉でおっしゃったことはないけれど、
(いまだに実践できている気は全くしないけど、本をそばにだけはいつも置いてる)、
そんなようなことを、先生から教えていただいたように思います。

小林先生、ありがとうございました。
またお会いして、笑いながらしょうもない話をしたかったです。
ご冥福を心からお祈りします。

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