リクエストにリクエストを重ねたポットラックのレッスンも、今週終了いたしました!
(生徒さんの感想をLessonのページにアップいたしました。)
4日もやったので、13品にもすっかり慣れて、楽しくなってきましたよ!
私まで、またテーマを変えて13品やろうかな、という気になってきたー、やばいです。(笑)
今日はちょっと、「料理の基本」のお話を。
お一人の生徒さんが
「先生、こんな料理やお菓子やパンが、先生のどこからスラスラと出てくるのか知りたいんです。一体どういう思考から、先生のお料理が作られるのか。何がこれらの基本なのか。その基本が手に入ればどんなにいいだろう、と思いながら、いつも先生のレッスンを受けてるんです。」
とおっしゃいました。
私はそれを聞いて、びっくりしてしまい、一瞬20年前まで時間が遡りました。
というのも、私自身が強くそう思っていたからです。
料理を志した20年前、私は「基本」が欲しくて欲しくて欲しくてたまりませんでした。
そして意を決して、当時お世話になっていたホテルの料理長に
「どうやったら料理の基本が身につくのでしょうか。」
と訊ねたことがありました。
そのシェフはおっしゃいました。
「濱田さん、私はもう何十年も料理をしているけれど、自分に料理の基本があると思ったことは一度もありません。そう思い続けることが料理の基本じゃないでしょうか。」
20代前半の私は、「もっと具体的なことが知りたいんだよー。」と焦ったものでした。
でも、今生徒さんにそう訊ねられて、答えられることと言ったら、(そのお話はしませんでしたが)やっぱりその方と同じかも!と、思いました。だって私も今でも、自分に基本が身についているとはちっとも思っていないもの。
(それに、料理もお菓子もスラスラとは出てきませんよー><)
しかし一つ言えることがあるならば、料理、特に製菓製パンはやっぱり科学なので、
「食べてくれる相手が好き!」とかいうことだけではどうにもならず、
(動機としては素晴らしいことだし、上達の近道ではありますが。)
感じたり考えたり手を動かしたりして試し(特に同条件で比べること。繰り返すこと。)、
その結果を考察、洞察することの積み重ねでしか、広がりを持つ基本は身につかないのかな、という気がします。
レッスンの中で、「なぜこのタイミングで入れるのか」「なぜこの切り方をするのか」「この道具を使うのはどうしてか」など、理由をいちいち説明するのは、私が比べて試したことをお伝えすることで、ご自分で料理を組み立てていく方法を身につけて欲しいからです。
同時に条件を変えて比較することは家庭では難しいので、私の試行錯誤の結果をお伝えすることで、そこは近道できる。
でも、そこからご自分の生活に落とし込んでいかれるのは、ご自分自身。だから、そのような視点を持って1年、2年と通ってくださっている方の料理は確実に変わってきているはずです。
(それは5歳の子どもでも、60歳で料理を初めてする人でも、同じだと思います。)
レシピが無料で検索できる時代に、わざわざお金を払って、時間を使って教室に通ってくださる意味はそういうところにあるのかな、とあらためて思いました。
ところで、私にそのお言葉をくださったシェフは、もう10年以上前に、若くしてお亡くなりになりました。
何のご恩返しもできなかったことをずっと残念に思っていたけれど、その方のお仕事や料理への姿勢の一端にふれさせていただき、私が得たことは、全く形を変えて、どなたかに伝わるのかもしれないと、生徒さんとの会話で感じました。
仕事というものの素晴らしさは、そういうところにあるなあと。